〜ワシミミズクの”リリー″と暮らす〜

フクロウ

はじめに

3年前に我が家にワシミミズクをお迎えしました。
名前はリリー。大人しくて穏やか、ちょっぴり怖がりな性格の女の子です。

今ではすっかり家族の一員。
静かにこちらを見つめる大きな瞳、羽をふくらませてのんびり過ごす姿、ちょっぴりビクビクしながらも新しいことにも挑戦する様子…そんな日常の一コマ一コマが、私にとってはかけがえのない時間です。

ワンちゃんやネコちゃんと比べたら、ワシミミズクを飼育することはまだまだマイナーなところでもあります。人との会話の中で、

「フクロウって飼えるの?」
「餌って何をあげるの?」
「懐くの?」

と質問をよくもらいます。

この記事では、我が家のワシミミズクと暮らして3年目になる今、日々の様子や飼育のポイントを少しだけ、お話しをしていけたらと思います。

フクロウは飼えます 飼育に必要な基本アイテム

フクロウを飼うには、いくつかの専用グッズの準備が不可欠です。
以下に、初心者の方にもわかりやすく、基本のアイテムをご紹介します。

止まり木(パーチ)

フクロウが日常的にとまって過ごす場所です。足の裏に負担がかからないよう、適度な太さ・滑りにくい素材を選ぶのがポイント。人工芝が巻き付いているとフクロウの脚はふわっと乗り、ロープなどが巻き付いていると脚でしっかり掴んで乗ります。
形はT字型やU字型があります。スチール製やステンレス製などの重量があり安定感のあるものがおすすめです。

アンクレット・ジェス・リーシュの3点セット

この3点セットは、フクロウの係留に必要不可欠でロスト(ペットが逃げてしまう)や事故の危険性を防ぐための大事なアイテムです。

•   アンクレット:足につける革のベルトのようなもので、フクロウに優しい素材を選びましょう。水浴びが好きな子もいます。革は水に濡れると硬くなってしまうので、定期的に交換をしてあげます。

•   ジェス:アンクレットに通して使う短い革ひも。安全な長さと強度が大切です。主に革製やナイロン製を使用します。

•   リーシュ:ジェスと繋げて使うロープで、係留用。長すぎると脚に負担がかかるため、短めが基本です。

グローブ

据えて歩くときは鷹匠グローブ(革手袋)の上に乗ってもらうスタイルが一般的です。
また、餌やりの時もグローブ上で与えることで信頼関係が築けたり、給餌をトレーニングに応用できるなどのメリットもなります。日々、繰り返すことでグローブを付けて餌を見せると、飛んできてくれるようになります。

食事はマウスが基本

我が家のリリーの主なごはんはマウスのみ。
餌としてヒヨコ・ウズラ・マウスなど選択肢があります。(昆虫を食べるフクロウもいます)
猛禽類は内臓や骨ごと丸ごと食べることで、バランスよく栄養を摂取します。

とはいえ、食べ過ぎには要注意。見た目のふっくら具合に惑わされず、胸筋(胸の筋肉)を触って張り具合をチェックするのがポイントです。多くの羽毛に覆われた身体の下なので、見ためだけでは分かりません。そっと触れさせてもらい、日々の観察が重要と思います。食事量はその日の運動量や季節によっても調整しています。

フクロウの餌と食中毒について

フクロウの主な餌であるマウスやヒヨコは、冷凍保存されたものを解凍して与えるのが一般的です。
しかし、この解凍方法や保存状態によっては食中毒の原因になることもあります。

特に気をつけたいのは以下のポイント:
• 自然解凍は常温ではなく冷蔵庫でチルド解凍
 常温放置は雑菌が繁殖しやすいため、冷蔵庫でゆっくり解凍するのが安心です。
• 再冷凍はNG
 一度解凍した餌を再び冷凍するのは避けましょう。品質が落ち、雑菌が繁殖してしまうなどフクロウの健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
• 解凍後はすぐに与えること
 解凍した餌は時間が経つと腐敗が進みます。1食分ずつ小分け冷凍しておくと便利です。余ったからといって次の餌に持ち越さない。
  • 置き餌にしない
食べないまま餌を置いたままにすると腐敗が進むこと、悪臭も放ちますし餌の品質も低下させてしまいます。体調悪化の要因にもなるのでオススメしません。食べ散らかしたままですと見た目もそうですが、衛生上もよくありません。


 万が一、悪臭がしたり、変色があった場合は絶対に与えないようにしてください。
大切なフクロウの健康を守るためにも、餌の取り扱いは人間の生もの以上に慎重にしておくと安心です🦉

餌やりの際のおすすめアイテム

フクロウに餌を与えるときは、衛生管理と安全性がとても重要です。
特に解凍後の餌は雑菌が繁殖しやすいため、できるだけ手を触れずに与えることがポイントになります。

そこでおすすめなのがコチラです⬇️

✅ 餌カットのハサミとステンレストレーとピンセットの使用
•1.ステンレストレーは洗いやすく、消毒もしやすいため衛生的。餌の汁なども染み込まず、長く使えます。
• 2.ピンセット(できれば長めのタイプ)を使うことで、直接手で触れることなく安全に餌を与えることができます。
• 3.ハサミはステンレス製で、食べさせやすいサイズに餌をカットしてあげましょう。

この3つのアイテムがあれば、毎日の餌やりがぐっと楽に&清潔になります。また素早い給餌にもなります。
フクロウにとっても飼い主にとっても安心できる環境作りの一歩ですね🦉✨

使用後のトレーやピンセットはしっかり洗浄・消毒を

餌やりに使用したステンレストレーやピンセットは、使用後すぐに食器用洗剤で丁寧に洗いましょう。
餌の血液や脂などが残りやすいため、しっかりと洗浄することが大切です。

さらに、熱湯消毒を併用することでより安心です。
洗った後に熱湯をかけるか、ボウルなどに入れて熱湯を注ぐ方法で簡単に消毒できます。

こうした毎日の衛生管理が、フクロウの健康を守る大切な習慣になります。
餌を扱うアイテムは、人間用の食器と分けて保管すると良いですよ。

餌の廃棄について

捌いた餌の不要になった内臓や残した肉は、チャック付きのビニール袋などに入れて再冷凍をして、可燃ゴミと一緒に捨てます。再冷凍をすることで臭いも抑えられ虫の発生の対策にもなります。

水分補給について

餌から水分を摂ってますが、フクロウも喉が渇きます。水分補給は水入れを使用して飲んだり、霧吹きで嘴(くちばし)を湿らせて与えたり。また水浴びが好きな子は、水浴びをしている時に飲んでる子もいます。

換羽期は特別な時期

年に一度やってくる"換羽期(羽の生え変わり時期)"は、リリーにとって体力勝負。脂粉の量も多くなります。
新しい羽根を作るため、餌の量も増え、体重もやや上がる傾向があります。普段より少し多めにごはんを用意しつつ、体調の変化にも気を配ります。換羽によって抜けた大きな風切り羽は、宝物として保管をするのも、楽しみのひとつです。

懐く?というより「慣れる」

フクロウと人との距離感は、ワンちゃんやネコちゃんとはまた違った性質で、独特な魅力があります。ベッタリ懐くタイプの生き物ではありません。野生の名残を強く残している性格です。フクロウは本来、単独で生きる野生の猛禽類なので、誰かに依存をしたり甘えたりなどの習性は無いと言われています。

しかし、毎日の世話や話しかけたり、ふれあいを重ねることで、少しずつ人に慣れてきてくれます。

慣れてくると、餌の時にグローブに飛んできてくれたり、近づいても怖がらずに落ち着いてくれたり、様々な仕草で反応を返してくれたり、そんな姿が見られるようになります。これが、フクロウとの信頼関係が築けてきている証拠です。焦らずにゆっくりと時間をかけて慣れていくことが大切です。

リリーも初めてグローブまで飛んできてくれた時は感動もしました☺️

フクロウはとても長生きすると言われていますので、長いスパンで考えていくといいですね。

定期的に爪切り&嘴(くちばし)のメンテナンス

フクロウは自然界では、木の枝や獲物との接触で爪や嘴が自然に削れることが多いと言われています。しかし、飼育下ではそのような摩耗することが少ないため、定期的にメンテナンスを施すことが必要になります。爪や嘴は鋭利に伸びやすく、伸びたままにしておくと自分の体や飼い主を傷つける原因になります。また、止まり木に止まれなくなることもあります。

☝️頻度としての目安:1~2か月に1度

使うのはネコ用の爪切りとやすりです。念のために止血剤を準備します。メンテナンスは飼い主さんが行うこともありますが、自宅で行う場合はとにかく慎重に行ってください。決して無理はせず、専門の獣医さんやフクロウカフェのプロの方に依頼をするのが安心です。カットだけではなく、爪や嘴の表面を削る”コーピング”も行います。

また嘴は伸びたままにしておくと、歪んだり嚙み合わせが悪くなり、餌が食べられなくなる原因になります。

飼育環境と放鳥について

基本は係留飼育をしています。使っているのは前項目で紹介した「リーシュ」というロープで、少し短めに設定するのがコツ。長すぎると、飛び立とうとした時に脚に強い負担がかかってしまう可能性があるためです。パーチからピョンと飛び降りたり乗ったりできる程度に調整をしています。

また室内での放鳥時間も大切にしています。自由に羽ばたける時間は、リリーにとってのリフレッシュ。
フクロウはとても静かに、そして意外なところに飛んで行くこともあるので、危険物がないかを確認し目を離さずに見守ることが大前提です。

トイレは覚えない?!(フクロウの糞は基本的に無臭です ただし…)

フクロウの糞は、意外かもしれませんが基本的にニオイがほとんどありません。
ワンちゃんやネコちゃんのような強いニオイもなく、室内での飼育でも臭いが気になることは少ないです。

意外と聞かれることが多いのが「フクロウはトイレを覚えますか?」という質問。
答えは、基本的に覚えません!(笑)

しかし観察していると、よく用を足す場所やお気に入りの場所がなんとなく見えてきます。
綺麗好きなのか、お気に入りの場所には糞をしない気がします。

ただし、注意点もいくつかあります👇
• 糞は水分が多く、飛び散りやすいため、掃除のしやすい環境づくりが大切です。肉食のせいなのか、よく拭き取らないと跡が残ることがあります。
• 決まった場所に排泄しやすい個体も多いので、よくする場所を観察してペットシートを敷くなどの対策がおすすめです。こうしておくことで、毎回掃除の手間がかなり省けます。
• 1日1度の盲腸便という黒いタール状の糞が出ます。これがかなりの強烈なニオイを放ちます。直ぐに拭き取らないと汚れが落ちなくなります。

あと、糞の掃除を行ったら必ず手を洗いましょう(笑)

フクロウは「ペリット」を吐き出します(※通常は無臭です)

フクロウは、毎日1回「ペリット」と呼ばれる消化できなかった食べ物のカス(毛や骨など)を口から吐き出します。
これはとても自然で健康な生理現象なので、心配しなくて大丈夫です。

ペリットが出るときは、フクロウは苦しそうにし、静かにうずくまり少し頭を振るような仕草のあとに、ポロッと出します。ペリットを出したあとはスッキリした顔に戻ります。

そして驚くことに、ペリットは基本的に無臭。
見た目こそちょっと不思議な塊ですが、ニオイはほとんど感じません。
また、吐き出したペリットで遊ばないように回収して捨ててあげましょう。

観察のポイント
• 食後12〜24時間以内に出すことが多い (餌を食べる量が少ない子だと毎日ペリットは出ない)
• 形や色、頻度をチェックしておくと健康管理にも役立ちます
• いつもより間隔が空いたり、出そうとして出ない様子が続く場合は注意⚠️

フクロウは体調不良を隠す動物です

フクロウは野生の本能から、体調が悪くてもそれを隠す習性があります。
「元気そうに見える」からといって安心していると、実はすでにかなり不調が進んでいた…というケースも珍しくありません。

そのため、日頃からよく観察することが何より大切です。

たとえばこんなサインには要注意:
• 餌の食いつきが急に悪くなった
• フンの色や量がいつもと違う
• じっとして動かない時間が長い
• 羽づくろいの回数が減る
• 呼吸が浅く速い、または苦しそう

ほんの少しの違和感でも、「いつもと違うかも?」と感じたら、早めに専門の動物病院へ相談するのが安心です。
フクロウは言葉で訴えることができない分、私たちがしっかり気づいてあげたいですね。

健康診断は「体調を崩す前」に

フクロウは体調が悪くなっても、それを隠してしまう動物です。
だからこそ、体調を崩してからではなく、“元気なうちに”動物病院で健康診断を受けておくことが大切です。

猛禽類を診られる獣医さんは限られていますが、
いざという時に慌てないためにも、かかりつけの専門医を見つけておくと安心です。少しでもいつもと違う表情が見受けられたら、様子見をしないで獣医師に相談をしましょう。

健康診断では、
• 体重や体格のチェック
• 羽や爪の状態
• 糞便検査(寄生虫や菌の確認)
• 栄養状態の確認 など

フクロウの全体的な健康状態を見てもらえます。

日頃のケアと合わせて、定期的なチェックで予防できる病気も多いので、年に1回のペースで健康診断を検討してみてくださいね。

⚠️窓ガラスに注意!フクロウには見えていません

室内で放鳥する際に最も注意が必要なのが「窓ガラス」です。

フクロウは視力がとても良い反面、
透明な窓ガラスを“空間”として認識できず、見えていないことがほとんどなのです。

そのため、突然飛び立ったときに窓ガラスへ激突してしまう事故が実際に多く報告されています。
首や翼を痛めてしまう、脳しんとうを起こすなど、様々な危険があるため放鳥の際は以下のような対策がおすすめです。
• カーテン・ブラインドを閉める
• 窓にシールや目印を貼る(白いマスキングテープなど)
• 放鳥は広すぎない安全なスペースで
• 飛び立つ方向に注意し、無理に驚かせないようにする

室内でも安全な空間づくりを意識することで、窓から外を見させてあげ、気分転換にもなります。また、網戸は突き破る可能性がありますので、網戸だけでなく金網など別で設けてあげましょう。
こうすることで飼い主さんとフクロウにとっても安心できる「自由な時間」を楽しめます😊

⚠️誤飲に注意!リーシュやおもちゃは要チェック

フクロウの飼育で意外と見落としがちなのが、誤飲のリスクです。個体によっては命の危険も!

特に注意したいのは、
• リーシュの先端の金具や結び目の糸くず
• おもちゃの破片や布素材のヒモ類
• カゴや止まり木に巻いたカバー類

こういったものを興味本位で咥えて、誤って飲み込んでしまうことがあります。
一度飲み込んでしまうと、自力で吐き出すことは困難で、場合によっては開腹手術が必要になることも。

安全のためにできること:
• リーシュやおもちゃは、ほつれ・破損がないか定期的にチェック
• 誤飲しやすそうなサイズ・素材のものは使わない
• 放鳥中は目を離さないようにする

「これは大丈夫かな?」と迷うものは、あらかじめ避けるのがベストです。
フクロウの健康を守るためにも、日常の小さな管理がとても大切ですね✨

❌ここで我が家の失敗談→→
放鳥した時のことでした。止まり木(パーチ)に置いておいた短めのリーシュが無い事に気がつきました。時すでに遅し・・・誤飲させてしまった事が一度あります。

☝️対策・措置として行ったこと→→
ペリットとして自ら吐き出してもらう です。
日常では餌として与えているマウスを、いつも餌を与える時間では無かったのですが、ペリットを誘発させようと食べさせてあげました。誤飲させたリーシュも一緒にペリットとして吐き出してくれたらと…
結果は奇跡的にペリットとして吐き出してもらえました😭
命を落とさなくて良かったと本当に思いました。
それ以来はリーシュなど誤飲してしまいそうなものは届かないところにしまっておくを徹底してます。少しのミスで大切な愛鳥を失うなんてことがないように。。

⬇️これはペリットを誘発させて自力で吐き出した誤飲したリーシュです。くるくると巻かれて出てきました。

ここまで色々と書いてきましたが、リリーとの暮らしは毎日が学びの連続です。
「飼う」というより「共に生きている」。人と接するような感覚です。これからもペースを大切に、ゆっくりと穏やかな時間を重ねていきたいと思っています。

❤️これからフクロウを迎えたい方へ

 フクロウとの暮らしには、日々の発見と学びがたくさん詰まっています。見た目の可愛さだけでなく、生態や飼育スタイルも独特です。
「静かで癒される」だけじゃなく、「餌の管理」「掃除」「健康チェック」など、日々の積み重ねが大切。
でもその分、得られる絆や感動も大きいです。もしこれからお迎えして、飼育を考えている方の参考になって頂けたら嬉しいですし、すでに一緒に暮らしている方とも情報交換ができたら嬉しいです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!😊

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